生きていれば日々色々なストレスが私たちの身の回りで起こります。
ストレスへの耐性が弱ければそれから受けるダメージは大きくなり、感情を乱され、それが肉体へのダメージへと波及します。
会社に勤めていれば、お客や取引先とのいざこざもあるでしょう、突然上司から呼び出され叱責を受けることもあるでしょう。
家庭の主婦であれば、ご近所付き合いや夫婦喧嘩というものもあるでしょう。
その他、事故や災難というものも時々起こりうるものです。
そのような時、身体の気が上気し頭に血が昇ってしまうと、冷静な判断・対応が必要となる場面でそれができなくなり、更なる二次災害に拡大します。
突発的なストレスの衝撃に対して「アワワワ・・・」とあたふたしていたら解決できるものもできなくなります。
そのような時にお奨めしたいのが、「クンバハカ」というヨガの姿勢です。
これは昭和の哲人と言われ心身統一法をあみ出した故 中村天風氏が唱えたものです。
やり方は簡単、このようなものです。
① 肩の力を抜いて脱力する。
② 肛門を締めるよう軽く力を入れ、意識を下肚(はら)にもっていく。
というこれだけのものです。
元々の由来である「クンバカ」というのは止息という意味で、息を吸ったり吐いたりしない状態のことをいうヨガの用語です。
ですから「クンバハカ」をする時には息を止めて意識を肚に持っていくのがよいでしょう。
しかし、いつまでも息を止めているわけにはいきませんから呼吸をしなければなりませんが、その際の呼吸は吸気よりも呼気の方が良いです。
「フゥー」とゆっくり長く口から吐いていきます。
この「クンバハカ」をすると頭に昇っていた気や血が「はら」に座るようになるのです。
ここでの「はら」は「腹」より「肚」の方が適切でしょう。
ヘソの下3寸(1寸=約3㎝)にあるといわれる臍下丹田(せいかたんでん)という一大気の溜まり場に気が収まり、気持ちがゆったりと落ち着くようになります。
実際にはこれだけのことでも奥が深く、きちんとマスターするには3ヶ月~半年程時間がかかると中村天風氏は言っていました。
ですが、初心者の方は難しく考えずとにかくやってみること、実行あるのみだと思います。
これによってストレスの衝撃から身を守ることが可能になり動揺しなくなります。
また、怒りや悲しみ、不安、怖れといったネガティブな感情が想起して来た時にこのクンバハカをすればその感情に飲み込まれずに耐えることができるでしょう。
こうなると少々の衝撃は物の数ではありません。
私が「クンバハカ」を知ったのはかなり昔で20代後半から多用していました。
サラリーマン時代、特にうるさい上司からお小言を頂戴してしまった場面でもこの「クンバハカ」をしていましたので、まったく身にこたえることがありませんでした。
ストレス的な衝撃が「来た!」と思ったら、すぐ肩を脱力、肛門をキュッ、これを同時にやるのです。
姿勢は座禅を組む必要はありません、立位でも良いのです。
肛門に力を入れすぎてギューとやる必要はありません。
「フーン」と息んでやっているとかえって力が入りすぎて見た目も変です。
軽く肛門に意識を持っていく、これがコツです。
傍からは全くわかりませんから。
なぜ、肛門かというと肛門を意識すると自然に気が下肚に落ち着いていくからです。
また気の診方では肛門と心臓はお互いに関係があります。
肛門を意識することで心拍・鼓動が安定し精神的な落ち着きをもたらすのかもしれません。
「クンバハカ」の姿勢を日常的に活用すると、周りからみると何だか肚(はら)が据わった落ち着いた人物に見えるようになります。
「オッ、こいつはおろそかにできないぞ」と周りの人が思ってくれたらしめたものです。
同じ言葉を発する場合でも、ある人が発言すれば軽く聞こえたり、また別の人が同じことを言うと重みのある言葉に聞こえたりします。
肚に気が据わっている人物は言葉にも気が乗りますから、発言力が増し主張が通りやすくなります。
ストレスに遭難しいつも柳が風を受けるように流されていてはまったく身が持ちません。
この「クンバハカ」の姿勢を実際にとってみて、ストレスの場面で果たしてどうなるか体験してみてください。
「いつもの上司(または主人)のお小言がたいしたことなかった」ときっと思えるはずです。
もっとも、そのようなことに遭遇しないのが一番良いのですが。
それはまた別の機会に「引き寄せない方法」としてまとめてみたいと思います。
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